2023
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02
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末永:まずは、自然電力の事業概要と設立の経緯をご説明いただけますか。
長谷川:社名のとおり再生可能エネルギーの発電所、例えば太陽光や風力、小水力、バイオマス発電所を日本、そして世界中に作っています。今後は、発電に加えて蓄電、電気をデジタル制御するエネルギーテック、これらを統合して脱炭素を進めたいお客様に提供していきます。その先に、脱炭素社会を実現することを事業としています。
末永:自然電力は2011年の設立ですが、環境問題に対する課題感や取り組もうと思われた背景は何だったのでしょう?
長谷川:個人的な話ですが、生まれてからの6年間を栃木県の山と川に囲まれた豊かな環境で過ごしました。川に入って遊んだり、山で山菜を採ってみんなで食べたり、自然児として楽しく生きていました。ところが6歳のころ、東京に引っ越すことになり、国道17号線と環七と首都高が交わる空気の汚れた環境に強いショックを受けました。
そのせいか、自分らしくあるためには自然の中に身を置く生活が必要だと、大人になるにつれて強く感じるようになりました。そうして、末永さんとも共通の趣味であるサーフィンやスキー、スノーボードに没頭するようになったのです。社会人としてのスタートが激務の環境だったこともあり、自分の人間らしさをバランスさせるために自然の中に身を置くことがいっそう大事な要素になりました。
末永:昔は12月にはスキーシーズンが始まっていましたし、春スキーは標高が高いところならゴールデンウィークぐらいまで本州でも滑っていました。その期間がどんどん短くなっていることを、肌で感じています。
長谷川:アメリカ副大統領だったアル・ゴア氏の『Inconvenient Truth(不都合な真実)』に2006年ぐらいに触れました。そこで、産業革命以降何が起きてきたのか、利便性や豊かな生活の影で、何が起きてきたのかを強く意識するようになりました。
環境問題には海面上昇や雪が減少する問題も含まれており、このままでは自分の人生に必要不可欠な山や海での時間が続けられなくなると思ったんです。自分の愛する環境、大切な環境を維持したいという自分事から関心を持ち始めました。
長谷川:自分事としての問題意識をもつ中で、同世代の親戚が突然亡くなったこともあり、いつ人生が終わるかわからない中で自分が納得のいく生き方をしたいと思い、会社を離れました。
そのときちょうど、現在共同代表をしている磯野が、インターンシップで風力発電の会社に入っていました。彼は学生時代からの仲間で、サーフィンを一緒にやったりしていたんですが、風力発電の話を聞いて、もしかしたら大事な仕事かもしれないと思いました。実はその会社では、同じく共同代表の川戸も働いていたんです。
こうして、その会社に運よく出会え、『不都合な真実』で知った、エネルギーの作り方に環境問題の大半の原因があるという課題に取り組むことになりました。
末永:当時は、電気の作り方の課題については、それほど注目されていなかったんですね。
長谷川:そうですね。太陽が動いて、温度の変化などから風が発生してという自然の流れを、人間が生きていくための力に変えていければ、自然とともに暮らしていけるはずだと、素人だからこそシンプルなコアの部分だけ見えたと思っています。
風力発電に取り組んでいけば、この人生をより有意義に使えるのではないかなと思い、2007年に働く環境を変えました。元々、サーフィンをしていると、海際には風力発電機があって、これがどうやってビジネスになっているのかすごく不思議だったんです。それがまさに、その会社の事業だったので関心をもって入社しました。
末永:環境問題の観点からは風力発電はエコですが、地元の人にとっては開発行為にほかならず、かつ、電力がその地域だけで使われるわけでもないので、地元の方々から理解を得るのが難しいのではないでしょうか。
長谷川:おっしゃるとおり、非常に難しい時期が続きました。
地元での説明会を何度やっても、全否定されてしまう状態が続いていたので、持続可能な世界を作るための正しいアプローチなのか考えるようになっていました。新しい発電所も作れず、経営的にもかなり苦しい状況に陥っていた2011年3月、東日本大震災が起きて、震災の翌日には原子力発電所にて水素爆発も起きました。
エネルギー問題は、世の中を一気に不安にさせてしまうインパクトをもっています。再生可能エネルギーはパーフェクトではないけれど、壊滅的な状況を引きおこすものではなく、現状の選択肢の中ではベターなものなので取り組むべきだと、そのときにあらためて思いました。
地元の合意を得られない、仲間になってもらえないのは、私たちが都心部から資本を投下して作った発電所の収益を都心部で吸収することが、地域の方から見れば、一方的な取り組みになってしまっていたからだと気づきました。そうではなく、地域の人たちと一緒に経済循環を作っていくとか、地域の人が主体になる形を設計しなければ、日本のように限られた土地の中で、再生可能エネルギーを増やすことはできないというのが、前職での根源的な思いでした。
末永:東日本大震災とその後の原発問題を踏まえて、川戸さん、磯野さんとも思いを一つにして自然電力の設立に至ったのですね。
長谷川:そうです、そういう経緯がありました。
末永:その後事業が拡大していきますが、その経緯と、投資家からの出資を受け入れてIPOを目指す方針へと転換したきっかけなどを聞かせていただけますか?
長谷川:2017年に東京ガスと資本業務提携するまでは、他社資本をほぼ受け入れておらず、本格的な資金調達は2022年2月のVGIからのものが初めてです。
それまでは、自分たちの事業から生み出される利益を循環させてきました。温暖化の問題などが起きているのは、利益のみを追求して出資者に応えるという従来的な資本主義の考え方が大きく関係していると感じていたからです。私たちが地球の課題として取り組んでいる温暖化問題は、短期的な目線での利益を追求してきた結果だという思いがあり、だからこそ他社資本を受けることには非常に慎重でした。自分たちの未来を自分たちで作るという考え方を持ち続けるためにも、他社資本を受け入れてこなかったんです。
末永:資本主義のおかげでこれだけ文明や技術が発展しましたし、恩恵も感じていますが、同時にいびつな部分も大きくなってしまったのが足元の状況かと思います。
しかし、資本主義市場の中でも責任投資原則などにみられるように、投資家が数字だけを追うと近いうちに破綻してしまうという考え方が出てきました。
投資家にとっては、事業が長い目線で持続的に成長することが望ましく、その事業が環境や社会に与える影響を考慮することは当然である、という意識を持つ投資家は少しずつ資本主義市場でも増えてきています。そのような、ESGやSDGs、社会的インパクトを重視する投資家は自然電力にフィットしていると思います。
長谷川:まさにそういう変化を私たちも感じていました。同時に創業から10年経って、「青い地球を未来につなぐ」という私たちのパーパスからこの10年を振り返ってみたとき、一定のインパクトは出せたかもしれませんが、このスピードでよかったのか、地球規模での問題解決にインパクトを与えるには、もっと事業を加速させなければいけないという思いが大きくありました。
事業を加速できなかったボトルネックは、資金力だと結論づけました。そこを突破したいと考えましたが、その資金がどんなものでもいいというわけではありません。志を共にしていただけるような投資家を見つけて、積極的にその資金を活用して事業の加速を実現させたいと、この2年ぐらいで考えるようになりました。自然電力の一番大きな変化だと思います。
末永:元々は資本市場で求められるスピード、すなわち利潤の追求に対するスピードを求めることは、自然電力にはあまり合わないなと思っていたが、他方で環境問題にキャッチアップして課題解決するためのスピードは非常に重要で、そのためにスケールが必要であって、かつ資本市場の中でも自然電力の課題解決に対する志を理解する投資家が出てきたということでしょうか。
長谷川:その通りです。ただ、投資家の方々の価値観が変わってきたとはいえ、彼らの期待値を満たさなければならないという意味では一定の時間軸は無視できないですし、それに流され過ぎて短期目線になってしまうと私たちとしては失敗だと思っています。だから、持続可能な未来を作るという価値は決してぶらすことなく、しっかりと成長することへの挑戦が、これから一番大事なことだと思っています。
末永:我々投資家サイドも、Exitやリターンを重視するのは当然ながら大事なポイントなのですが、それ以外のところの重要性もあることを肝に銘じて、常に対話しながら、一緒に成長し見守っていきたいと思っています。
長谷川:そうですね。一緒に成長していけることを願っています。
末永:今回、我々VGIとシグマクシス・インベストメント(以下、シグマクシス)、ケベック州貯蓄投資公庫(以下、CDPQ)からの資金調達に成功されましたが、このメンバーを選んだ背景や、それぞれに期待する役割について教えていただければと思います。
長谷川:コンサルティング会社であるシグマクシスは、会社としての付き合いも一番長いです。2020年に長野県の小布施町で、環境配慮型の自律分散次世代インフラの検討を、町とシグマクシスと協業しました。そうした中で、志を共にできる会社だと強く感じていました。
また、これからは地域に軸足を置いたエネルギーの作り方に加え、モビリティ、交通のあり方も含めた未来のインフラについて考えていく必要があると思います。こういった新たな産業の脱炭素化についてもご支援いただける関係ということもあり、ぜひ弊社の投資家に加わっていただきたいと考えました。
VGIは政府系ファンドですが、私たちのやっていることはインフラ作りであり、国レベルの課題であると思ってます。日本発の企業として世界の持続可能性に貢献していくという意味でも、国という視点からバックアップをしていただける投資家に加わっていただくことが理想的だと考えました。
そんな中、VGIとCDPQには社会的な目線や長期的な目線で我々の事業や世の中のことを一緒に考えていただけると感じたため、投資家に加わっていただきました。
また、エネルギー事業は地球規模での問題意識や課題に向き合うものであるため、世界で起きていることをしっかりとつかむ必要があると考えています。これは創業当時から変わらず、起業して2年目にドイツのJUWI(ユーイ)という会社と合弁企業(juwi自然電力株式会社およびjuwi自然電力オペレーション株式会社)を設立し、再生可能エネルギーにおいて先進国であるヨーロッパの知見を取り入れてきました。CDPQは早くからサステナビリティの文脈で世界中で投資を進めてきています。この観点からも、彼らに我々のチームに入っていただければ、私たちも地球規模での視点を持ち続けながら活動していけるという感覚があったので、投資家として加わっていただきました。
末永:先ほど、本格的な資金調達は2022年2月のVGIからのものが初めてというお話もありました。外部からの資金調達にあたっての不安、あるいは迷いのようなものはあったでしょうか。
長谷川:それを払拭してくれたのは、VGIの会社としての姿勢であり、社員の方々の姿勢です。例えば、意思決定の仕方にしても、新しい動きが活発なベンチャーのグロースフェーズをスピード感を落とすことなく支えるために、その企業に深く関与している少数のパートナーが集中的に判断する方法をとっていらっしゃいます。他にもインセンティブの制度の持ち方など、組織的にもすごく考えられていると感じました。
お話させていただく中で、今のVGIの姿勢に至った過程をよく理解できたため、投資家として参入いただくことに対する不安より、入っていただくことでのメリットを強く感じました。
末永:ありがとうございます。
長谷川:末永さんと直接に深くお話させていただくようになったのは、今回の件で具体的な調達の話になった段階ですよね。弁護士で、サーフィンをやっていて、という話は(ファイナンス周りを担当している)川戸から聞いていて関心をもっていました。
実際お会いしてみると、すごくフランクで、自然電力グループにもいそうな方だなという第一印象でした。政府系ファンドのパートナーという役職と聞くと、堅いイメージを持ちがちですが、投資を決めていただく前にいろんな話をする中で、お互いに自然体でいられる関係なのではないかと感じられたのが、いい意味での意外な点でした。
末永:ありがとうございます、嬉しいですね。
末永:御社をスタートアップと見るべきかという話もありますが、事業規模の大きなスタートアップだと我々は捉えていて、その日本のスタートアップが海外の投資家、特に大規模な年金基金から投資を受けるのは一筋縄ではうまくいかないし、前例も多くないと思います。
ただ、今回それがうまくいき、日経新聞でも大きく取り上げられました。何故うまくいったのか、多くの方が気になるところかと思いますが、ぜひお聞かせください。
長谷川:CDPQは、サステナビリティの文脈において世界中で投資を強化されています。アジアでも、特に日本での投資を増やしたいという思いを持たれていまして、その中でもパーパス、つまりどういう思いで事業をやっているのかが非常に重要だとおっしゃっていました。もちろんその思いがあっても、実績が無ければ説得力に欠けますが、思いと実績を両立している組織であることをCDPQからは高く評価していただきました。
末永:私も自然電力のパーパスは素晴らしいものだと思っています。「青い地球を未来につなぐ」というのは、壮大な話を自分事にするというメッセージが、わかりやすくスッと入ってきます。外部の人に説明する上でも価値観を共有し易いと思いますし、社内の人たちが自律的に何をやるべきかを考える上でも、いいパーパスだと思っています。
長谷川:パーパスについては、我々創業者の価値観にも大きく関係していますが、会社として「何のために」が欠けた状態で目の前の成績を気にすることはできないと初めから考えていました。そのため、会社を設立してすぐに「何のために」を創業者3人でまとめました。当初は今とは少し違う言葉で「エネルギーから世界を変える」でした。
「何のために」がクルー(従業員)一人ひとりの踏ん張る力になりますし、そもそもトップダウンの統制をとった組織を作るつもりがなかったんです。それは趣味嗜好の問題ではなく、地球規模の問題を解決するためには、トップに言われたことをやるだけの自主性のない動き方はインパクトを出しにくいと、実体験からそう思っていました。
自分自身が本気になっているときって一番強いじゃないですか。組織全員がそう思える方がいいと思っていたので、それを実現するには強いパーパスがなければいけないと創業初日から考えていました。
その後、2018年からは海外での事業展開が始まり、組織が本格的にインターナショナル化してきました。そのため、パーパスを多様な組織の中心にある言葉として、みんなにわかりやすいものに変えていきたいと思い、まずは英語から考えてみました。それが”We take action for the blue planet”です。”take action” が特に大事なところだと思っていて、自分たちは何をするべきなのかを常に自問自答しながら、”Blue Planet”、つまりサステナブルな未来に向かって動いていこうと。これを2018年に作り翌年リリースしました。
自律分散型で自分が主体となって動く、こういう組織を世界中に作っていくためには、明確なパーパスは不可欠だと思っています。
末永:英語から作られたというのがよくわかりますね。また、英語に合わせすぎない日本語もとてもいいですね。
長谷川:ありがとうございます。まさにそれは悩んだ点で、”We take action for the blue planet”を直訳すると、「持続可能な青い地球のために行動を続けましょう」といった表現になってしまいます。感情に訴えかける言葉になっているかを何度も話し合い、直訳ではなく、「青い地球を未来につなぐ」に落ち着きました。
末永:日本語のパーパスも、行動を起こすことを想起させていると感じます。Valuesについてはどうでしょうか。
長谷川:これまで累積で30か国くらいの人たちが働いていて、現在は約20か国の多様なバックグラウンドを持つクルーが働いています。こうした環境では明確な指針はとても大切になるため、元々19個あったValuesを、実体験をもとにみんなで話し合い、4つのバリューに集約しました。
「地球を楽しもう」
長谷川:その一つ目が「Enjoy the planet、地球を楽しもう」です。以前は4番目に位置付けていたバリューでしたが、どんどん格上げされ、先頭にきました。 地球というととても広い定義ですが、自分の出身地かもしれないですし、自分が大好きな山や海、または温泉かもしれない、それを大事にできる文化にしたいと考えました。 それはプライベートでやってください、仕事は仕事でやってくださいというのが旧来型の常識かと思うのですが、自分事として大事なことを本気で仕事にできることが一番力を入れられる状態だと思っているので、一つ目のValue は”Enjoy the planet”にしました。
「挑戦_すべては自分次第。枠をとっぱらおう」
長谷川:創業時、99%と言っていいくらい多くの方から、エネルギー産業やインフラ事業にベンチャーが取り組むのはやめた方がいい、自己破産まっしぐらだよと言われました。 でも、求める未来や、自分たちがあるべきと考える未来に向かって挑戦しない限り、今ある常識以外のものは生まれないじゃないですか。今では当たり前になった飛行機で空を移動することや、新幹線で高速に移動することも、当時は「無理だよ」と言われる対象だったと思います。 英語では”Get out of your comfort zone. You can be the change”と表現しています。自分が知っている世界は安心ですが、そこを超えて心配や不安、怖さを感じる領域で挑戦してきたからこそ、ベンチャーでも再生可能エネルギーを世界中に作っていくことを今日まで続けられてます。この気持ちをより組織が大きくなって行く中で忘れずにいこうという思いから2番目のValueにしています。
「信頼_よい仕事が仲間を増やす」「誠実_信じる未来に、全速力で」
長谷川:信頼は、日本語で「よい仕事が仲間を増やす」としました。信頼は、互いが尊敬し合う関係の上にこそ成り立ちます。互いに尊敬し合い、仲間を増やしていける仕事をしていこうという思いは、多様な組織で働く実体験として生まれてきました。 誠実は日本語では謙虚さを意味することもありますが、必ずしもそうではないと考えています。自分たちが目指す未来に対して、何が一番誠実な取り組みなのかを考え、それを軸にするということから「信じる未来に、全速力で」としました。 挑戦、信頼、誠実は共通して、会社設立の3人の時から300人規模になった今日まで、もがきつつやってきた中での強い思いです。それを忘れずにみんなで共有していきたいですね。
末永:そこを大事にされていることは、私も自然電力クルーの皆さんとコミュニケーションさせていただいて感じたところです。一人ひとりの方から透明性と同時に、それぞれが自分なりに考えて動いていることが伝わってきます。そういう組織を作られていることが、多様な国籍やバックグラウンドにも対応する土壌になっていると感じます。
末永:先日、コロナ禍でしばらくできなかった全社従業員が集うオールミーティングを木更津で開催されましたが、全部で何人ぐらいが参加したのでしょうか。
長谷川: 260人ぐらいで従業員の約8割です。当日は木更津にあるサステナブルファーム&パークのKurkku Fieldsを貸し切り、自然電力グループのこの1年の実績のお祝いや、今後の事業戦略についての発表、また世界各国から集合したクルーによるパフォーマンスなど、終日を通して自然電力のカルチャーを全クルーに体感してもらう場になりました。
末永:文化祭みたいに出し物をして、さらにそれぞれのクオリティがとても高く、本当に好きなことをやられている方が多いんだなと感じました。
長谷川:末永さんにもご参加いただき、ありがとうございました。投資家としてのかしこまった末永さんではなく、我々をサポートしてくれる仲間の1人としての末永さんを感じることができ、とてもよかったなと思っています。 オールミーティングを開くには、全世界からクルーが集まるためコストもかかります。しかし、ここ数年、世界中に私たちの事業が広がりながらも、コロナ禍で1回も全員が集まることができていませんでした。今回、このように集まれたからこそ、私たちの中心にあるのは”We take action for the blue planet”だ、ということを再確認できました。オールミーティング後はまたそれぞれ世界中に散っていきましたが、チームとしてひとつになれたと強く感じています。 本当にやってよかったです。
末永:資金調達が進んで、組織も拡大しています。事業が拡大する中での課題があれば、ぜひ伺いたいと思います。
長谷川:組織としての管理のバランスですね。自律分散でありながら協調する状態にならなければ力が逃げていってしまいますから、100%分散と中央集権的なものを行き来しながら、組織としていいバランスを探していく。そういう意味では、外部の投資家の資金を預かったことで組織としての体制を整えなくてはいけなくなったことは、健全な外圧だと思っています。
末永:資金調達もその後のIPOも、考え方としては基本的に外部の仲間が増えるような感覚だと思うんですよね。そこを含めて誠実に対応していくためには、説明責任的なところが重要だと思います。 IPOに向けて金太郎飴的な組織を作るのがいいわけではなく、御社ならではの分散のいいところも含めながら、資本市場で投資家に説明できるような組織を目指していただけるといいなと思います。 最後になりますが、今後の展望、目指すところをご教示いただければと思います。
長谷川:地球規模で問題解決をしたいという思いから始めて、組織ももう8か国に広がっています。今回調達させていただいた資金を使って、世界中の問題解決を、エネルギーを軸によりスピードアップさせていきたいと思います。 その中で、変動性の再生可能エネルギーをコントロールするエネルギーテックの分野は、我々にとっては比較的新しい領域です。再生可能エネルギーを増やしていくためには、エネルギーテックを推進する必要があるので、こちらもさらに強化していきたいと考えています 。 これらを実現するのは結局は「人」なので、世界中の80億人の中から一緒にこの未来を考えられる人たちに集まっていただきたく、資金の少なくない部分も、人への投資、育成に活用したいと考えます。 数字的に言うと、我々の事業は原発の問題からスタートして、これまで原発1基分の再生可能エネルギーを生み出したいと事業を進めてきましたが、今後は2030年までに世界中で原発10基分にあたる約10GWの電気を再生可能エネルギーから生み出す挑戦をしたいと考えています。
末永:そうすると、再生可能エネルギーの発電量としてのインパクトも、かなり大きなものになりますね。
長谷川:そうですね。 それから、先ほどのエネルギーテックでいうと、点在した蓄電・発電の設備を束ねて一つの発電所のように機能させるVPP( バーチャルパワープラント)と言われる存在が重要になってきます。これを実現するためにもデジタル制御が求められますが、それについても自社内での開発を進め、実現していきたいと思っています。
末永:大きな挑戦ですね。
長谷川:かなり大きな挑戦だと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。
末永:こちらこそ、よろしくお願いします。
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